予定地

いずれなにか書きます

薪能を見てきた

この間、三条通歩いてたら文博の前で袴をシュっと着たかわいい若い男子がちらし配ってて何かと思ったら平安神宮薪能だった。そしたらその2日目の最後の演目が「小鍛冶」で、これは審神者だから見に行くしかないと思ってチケット取って娘と見に行った。(友達も合流した)
伝統芸能、高尚なように思うけれども、もともとは楽しませるために作られたコンテンツだし、アニメ見るぐらいの気持ちのスタンスで見ようと思ってる。能もだいたいそれで問題ない感じだった。
すごく大雑把に能の話。

  • 能って、だいたい故事とかに取材したわかりやすいお話で30分ぐらいにまとまってる
  • 大まかに言うと、お面つけてない生身の男の人(ワキ)と、お面つけてる神仏とか霊魂とかなんかそういう人外(シテ)が出てきて、ワキがだいたい話の背景みたいのを謡い、そこに現れたシテがさらに謡い踊って去っていく、みたいな構成。
    • ラノベでいえば平凡な俺(ワキ)、ひょんなことから出会った美少女(シテ)。全部知ってるわけじゃないけど有名な曲のほとんどが萌えかBLで回収できるような気がする
  • 演じるのも、後ろで謡うのも、楽器鳴らしてるのも、あと舞台の装置準備したりするのも、全部シュッとした男性で、所作や声が最高に美しい
    • 美しい男性ばっかりで、わかりやすいお話を歌って踊るわけで、2.5次元舞台とだいたい仕組は同じ
  • それは、歌舞伎もそうなんだけど、歌舞伎のほうが話が生々しい。能は、だいたい生身の人間同士の話ではないので、深夜アニメ感がある
    • どうも「人外が人の形で顕現して消える」という話を見て、その背景にあるセックスや死は見る側が補完して「ほわわー」ってなる仕組みになってるっぽい。(そういう見方をするものではないけど、そうやって見たらわかりやすいと思う)
      • その「ほわわー」って感じが「幽玄」ってやつなんちゃうの(たぶん違う)
    • 「羽衣」は羽衣伝説を基にしてるけど「天女をそのままお嫁さんにして子どももできて…」みたいなドラマではなく、単に「漁師が拾った羽衣を返すかわりに踊りを踊ってもらい、天女は空に帰る」だけ
  • シテ、冷静に考えると怖いお面つけたおっさんが太い声で歌ってるのにずっと見てるとなんか美少女とかに見える
  • ワキ、素顔で生身の男性を演じるんだけど総じてシュッとしたイケメン
  • 「幽霊になって「うらめしやー」って言ってみてください」って言われたら、たいてい、あの「うらめしや〜」っていう抑揚で言うと思うけど、まさにその抑揚で能に出てくる幽霊は「うらめしや〜」って言ってて、なんかのDNAに組み込まれた抑揚なのかと思った
    • あと、一本締めで「ようーーっ ポン」っていうあのタイミングもだいたい何故か合うけど、それも「ルーツこのへんだ!」って感じだった

なんか妙に密度が高くて面白かったのでまた見たい。1曲30分ぐらいというのも集中力途切れがちな私にはちょうどよい長さ。