苗字の話、家の話。
夫婦別姓についてまた議論になってるけど、私は、むしろ絶対に夫婦同姓でないといけないという理由が本当にわからなくて、なんか家族の絆とか伝統とか言うけど、それは多産時代の伝統であって、子どもが少なくなった現代では、現実のほうがすでに制度を超えてしまってるように思うわけです。
ここで私の家の話をするけど、私は子どものころ、父母と兄、祖父母と寝たきりの曾祖母が同居していた。で、父母と祖父母と曾祖母はそれぞれ苗字が違った。この経緯が結構複雑。
一般に「複雑な家庭環境」というと結婚離婚を繰り返して血縁よくわからなくなってる、みたいな感じだけど、あくまで関係性としては血縁であり普通の古き良き大家族らしい経緯で同居しているんだけど、戸籍上は別姓にせざるを得なかった。具体的にはこういう経緯。
- 父は第二次世界大戦中にA家の長男として産まれたが、産褥期に母を亡くし、母の実家のB家に預けられ、祖父母と叔母が育てた
- その後、A家に後妻が来て子どもが産まれたため、父はそのままB家で成人する。姓はAのまま。
- 母はC家に育ち、父の元に嫁いだ際にAに改姓した。その後、兄が産まれる前後にB家で同居することになった。
- 私が産まれる直前、父の祖父が交通事故で亡くなり、それと前後して祖母が老衰のため寝たきりになる。父はサラリーマンだったので、祖父の商売は母が継ぐことになり、育児、介護との両立は無理ということで、母の祖父母が同居することになった。
- これにより、3世代同居ではあるものの、A,B,Cの3姓が混在することになった
男系で家系がつながっていくとは限らない昨今、結婚して姓を変えることにより血縁関係と姓が無関係になってよくわけがわからなくなるという弊害があるとも言える。
夫婦別姓にしたい理由、わりと個人主義的な主張がなされてることが多いから伝統勢力から反発されるのだろうけど、どっちかというと子どもが少なくて家の存続がやばい年寄りから要望が出てもいいんじゃないのかと思う。
ちなみに、私はあまり実家に愛着がなくて、結婚して姓を変えて離婚した時に姓を戻さなかったので、もはや縁がない家系の適当な苗字を名乗っているという面白い状況であり、たぶん次に結婚したらまた姓は変えると思う。
ところで、この話にはまだ続きがある。
曾祖母も祖父母も父も亡くなり、私と兄が家を出て独りになった母は、夫を亡くしたあと遠方で一人暮らしをしていた母方の叔母(私から見ると同居してた祖母の妹にあたる人)をひきとり、一緒に暮らすようになった。また表札に苗字が2つ並んでいる。
で、この人の姓が、私が付き合ってる相手の姓と偶然同じなのだ。もし結婚するようなことがあり私が姓を変えると本当にわけがわからないことになるし、そもそも、この祖母の妹の家は子どもがなくて一時期私を養女にするとかいう話も出てたので、まさに家とは…?という気持ちになる。