予定地

いずれなにか書きます

うちの実家の床の間には、父方の祖母が16歳のときの書初めを表装した掛け軸が飾られてた。
「修竹虚心 万年緑 奇花照眠 一時紅」なんて、ストイックにもほどがある漢詩を、厳しい人柄がうかがえる黒々とした楷書で書いたもの。
そのころの学習ノートも遺されてるんだけど、その筆跡を見ても、戦前の16歳は、今の16歳と比べ物にならないぐらい大人なのはわかる。今でいったら短大の家政科みたいな位置づけの学校の優等生だったみたいだけど、明らかに今の短大生よりやってるレベルが高い。
でも、そんな祖母は父を産んですぐ、24歳で死んでしまったから、その早熟さが良かったのか悪かったのかよくわからない。人間がそうやって急いで生きないといけない時代、あまりよくないと思う。
私と祖母はすごく似てるってみんな言うけど、ああいう密度では生きてない。私はできればゆっくり生きていきたい。