予定地

いずれなにか書きます

小額決済、あるいはおひねりみたいなもののこと

インターネットで何か良いと思ったものに気軽に報酬が払える仕組み、という話は定期的に出るし「お金払う仕組みがあれば払うのに今はないから残念だ」みたいな論調の人は多いけど、本当にどれだけの人が本気でお金払うだろうかと思うとちょっと微妙だなと思う。実は、たいていの人はタダで享受できるものにお金払わないし、払うつもりなくて払ってない罪悪感を「システムが整備されていない」ってことにしてる部分もあると思う。

私自身も、インターネット経由でお金とかモノとか贈ったりするのは好きなほうだけど、正直、コンテンツに対してお金を払ってるのか、そのコンテンツの作者を応援したいという気持ちでお金を払ってるのか、時にわからなくなることがある。

前に、友達が描いたマンガに対してカンパしたことがあったけど、それだってマンガが面白くてカンパしたのか、友達を応援しようとしてカンパしたのか、考えてもよくわからない。おそらくその両方なんだけど、少なくとも作者自身に対して好意をもってないとお金払わないし、やっぱりそこに何かの下心とか情みたいのがあって払ってるのは間違いないと思う。

でも、作者からすると、よくしらない人がそんな少額で自分の意志とは関係なく何らかのつながりを作ってくるということで、それはそれで気持ち悪いと思うんじゃないだろうか。もちろん、最初は嬉しいんだけど、それが積もり積もると「この人たちは私になにを求めているんだろう」と不安になることもありそう。少額でもお金ってそういう怖さがある。

「金くれ」って先鋭的なサイトあったけど、あれは、すでにコンテンツすらなくて人間自体がコンテンツになっててお金が動いたりするわけで、もし、本気で運用されて、たとえば口座晒さなくてもお金が送れる、とかになった場合に何が起こるのかは興味ある(こわい)

コンテンツというかサービスに対して少額のお金を払うということで最近便利だなって思ったのが「ココナラ」で、これは自分のちょっとしたスキルとかに値段がつけられる。ワンコインからPaypalで決済できて、例えば簡単な占いしたりとか、ネイルの練習台になってもらうのとかが気軽にできる。システム面ではまだモタっとしてる感じもあるけど、自分のサービスに自分で値段をつけるってのがスタートラインになってて、そこがいいと思った。チップみたいのも追加で払えるので応援したければできるようになってる。

自分の提供するものに自信がないうちは特に、自分で値段をつけなくて「お好きなだけお支払いください」って姿勢をとってしまいがちだ。だけど、それは、売る側が自分の提供するものの価値をちゃんと判断することから逃げてるということだし、その価値判断を他人にゆだねてしまうのは不健全だと思う。

さらに、インターネットでの表現行為は作者というキャラクターと密接につながっていて、他人に値付けさせると、ヘタすると作者そのものに対して値付けされてしまうことにもなりかねない。

だから、自分の提供するサービスはいくらです、その範囲で私はこういうことをやります、って最初に決めることによって、逆に余計な関係性が生まれないという良さはあるのかもしれないなと思った。

(まあ、もちろん関係性をみんながもとめている以上、なんらかの形で関係性は生まれるんだろうけれども、いざというときにそれに絡め取られにくいというよさがあるんじゃないかと思った)