予定地

いずれなにか書きます

「ほんとにやりたかった仕事とかありますか?」って聞かれたとき「芸術家のミューズ」って真面目に答えている。写真家が奥さんや彼女を被写体として残したり、小説家が奥さんや彼女をモデルに物語を作る、そういう奥さんや彼女になりたい、と思ってきた。私にそういう出会いはたぶんなかった。

生身の自分の存在の一枚外にその人にとっての虚像を纏わせることができる人になりたい。その人のまなざしの中の自分を見たい。

もっと現実的には、被写体になりたいし、インタビュイーになりたいし、せめて言及されたい(できればポジティブに)。

自分は自己顕示欲とか承認欲求が強いと思ってたんだけど、自分の作ったものや自分の表現を褒められても、実際にはうれしくない(むしろ怖い)気持ちがあって、なんでだろうって思ってた。掘り下げたらそういうことだった。

自分の虚像を自分で作る人もいるけど、私はその乖離に生身の自分の筆跡が残ってしまうのが怖い。乖離の責任を自分が負うのが怖い。けれども、誰かに自分の虚像を作ってもらえば、生身の自分は温かい繭の中で守られ無責任でいられる、みたいな感覚がある。

誰かが見た自分が、自分のかわりに世間で生きていってくれたらいいのに、とか思ってる部分がある。